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【連載】保存再生 建築家の視点

「重要文化財―旧中筋家住宅」

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執筆者:中西重裕(一級建築士事務所K&Nアーキテクツ)                

和歌山市中心部から東方向の禰宜に重要文化財「旧中筋家住宅」十年間の歳月をかけた旧中筋家の保存修理が完成し、今夏から一般公開されている。門長屋の前には重要文化財旧中筋家の石柱がそのことを示していたが、大きな屋敷も長い間の風雪に耐え、長屋蔵も木々や蔦に覆われ傷みも見られる心配な状況であった。所有者の方はいらっしゃったが見学できる状況ではなかった。そんな中平成12年から始まった修理で大きな巣屋根に囲まれた風景が長く続き、工事中も時々で現場見学会が催され、現場の様子も県民に適時公開されてきた。

敷地の東側に熊野古道が通り、江戸時代末期は和佐組大庄屋に相応しい屋敷構えを残している。嘉永5(1852)年建築の建物は158年が経過したことになる。南に面した門長屋の表門の大戸から入ると広場があり、その正面に主屋が建っている。軒が高く大変立派な建物の中央に式台のある玄関が設けられており、位の高い人の出入り口で普段使われることはなかった。西側にあるたたき仕上の土間に竈が復元されている。上部を見上げると煤で黒くなった丸太の梁が力強く大空間を支えている。座敷に上がると多くの間が続き、南の庭をゆったり眺める演出がされている。畳廊下を通って奥座敷に入ると障子の向こうに北の庭がさらに広がっている。
主屋は三階の望楼や二十畳敷きの大広間をもち、その他門長屋、長屋蔵、北蔵、内蔵、茶室、味噌蔵、人力車庫など群としての魅力がある。紀ノ川流域随一の大型民家であり、和歌山市内で大庄屋の姿を見ることのできるすばらしい保存修理が完成した。かつて解体修理がされると真新しくなるケースも多かったが、伝統的な修理の中で、150年を超える瓦であっても半分以上は再利用し、表面の剥がれた土壁や柱梁をそのまま生かしている。今だからこそこのようなできるだけ現状を生かした修理ができたのだと思う。
個人所有の建物であったが、保存修理を進めていく段階で様々な課題があり、和歌山市が管理団体となって所有者の方の住居を敷地内に建築し、主要な建物を公開することができた。厳しい財政事情の中で、年間8100万円の費用を10年間かけたことになる。関係者の努力の賜物である。
公開されるにあたり展示計画も検討されたが、できるだけ建物を見せるという前提で、過剰な物が無く、適切な内容になっている。従来からこの地域の住民の旧中筋家住宅活用への関わり方は積極的で、維持管理における地域住民のが参画や施設の活用のプログラムも検討されている。
旧中筋家住宅のある山側と一方万葉集の歌枕として詠われた和歌の浦の良好な景観を今に伝えている三段橋、不老橋、妹背山、観海閣など和歌の浦が国指定名勝として和歌の浦干潟、片男波を含む90㎡が指定される。今年和歌山市の山側の魅力と海側の魅力が改めて住民が再確認する機会になった。また海南市の温山荘や新宮市の西村伊作記念館が本年重要文化財に指定された。建物の価値を知るとともに景観の保全を意識して町を眺めてみたい。

公開日:3月から11月までの土・日・祝日 午前9時~午後4時30分
(問い合わせ先 旧中筋家住宅:073-465-3040 和歌山市教育委員会文化振興課:073-435-1194)
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11:02 : 2010年「夏号」:  トラックバック(-)  コメント(-)
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